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  • 2025/03/13(木)
  • 農業を志す方々へ ー髙鹿 訓子さん・俊子さん

やりたいことがものすごくあるんです

 田園ファーム 髙鹿 訓子(こうろく くにこ)さん、俊子(としこ)さん

 

 

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埼玉県吉川市にて母娘でブルーベリーの観光農園を営む、髙鹿さん。

ブルーベリーの他にもユーカリなどの切花と野菜の生産販売をされています

埼玉県にて農業界で活躍する女性にお話を伺うシリーズ 第三弾!

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Q.農業を始められた際のエピソードを教えてください

 訓子さん:私は20年近くブライダル業界で働いて、結婚式場を切花で装飾する仕事をしていました。長く切り花を扱っているうちに、「この切り花って自分でも栽培できないのかな・・」と考えるようになりました。そんな中、実家に帰ってきたときに、庭が荒れ放題になっていたのを見て、ここで切花を栽培してみよう、と思ったんです。仕事で使えるようなものを栽培して、同時に見ても楽しめるようなお庭にできたらいいなと。当時は千葉に住んでいましたので、休みのたびに来て作業をしました。

元々この土地は、父の祖母の代までは田んぼで、お米を作っていたんですが、祖母が他界したことで、田んぼは辞め、父方の兄弟でそれぞれ土地を相続して、父がこの庭や農地を譲り受けました。

相続したとき、両親は農業以外の仕事をしていましたが、老後に農業をしたいなという想いがあって、老後のためにブルーベリーを植えたのが田園ファームの始まりですね。

 

俊子さん:私はもともと保育士をしていました。各地を観光するのが好きで、ブルーベリー園を訪れたことがあったんです。そのブルーベリー園には高齢者がたくさん集まっていて、皆さんとても楽しそうで、すごく良い雰囲気でした。それを見て、私たちもやってみたいなと思ったんです。

最初は、この田んぼをどう使おうかなと考えて、クワイを植えてみたりもしたんですが、そのブルーベリー園に行ったことがきっかけで、「私がやりたいのはこれだ!」「これならできるんじゃないかな」と直感的に思って、ブルーベリーのことをいろいろ調べて、始めたんです。

何もわからないところからでしたので、何カ所もブルーベリー農場に行ってブルーベリーを生産する先輩方にお話を伺ったり、本を見たりしていろいろ試行錯誤して、やっとここまでたどり着いたんです。

 

訓子さん:なので、初めはほとんど趣味ですよね。

 

Q.農業の技術や知識は独学で身につけられたということですか?

俊子さん:初めはそうでした。でも最終的には師匠となる人を見つけて教えていただきました。

訓子さん:趣味で始めたので、初めのうちはどうしても「利益」について考えられてなかったんですね。でも、それではやっていけないとわかり、農業を趣味ではなく仕事としてやっていくには、どうしたらいいか?を考えるようになりました。

そんな中、ブルーベリーの栽培をされている農家の方で、情報発信や加工販売、カフェ経営など様々な仕掛けを上手にされていらっしゃる千葉県のYouTuber兼業農家さんを見つけ、直接訪問してコンサルタントをお願いしました。その方にブルーベリーのいろいろな品種のこととか、接木の仕方とか、情報発信の仕方とかいろいろなことをアドバイスいただきながら実践しているところです。

 

Q.趣味から始められたとのことでしたが、農業に軸足を置き始めたのはいつ頃のことですか?

訓子さん:私が仕事を辞めてここに戻ってきたのが2023年の2月のことです。そこから本格的に農業を始めました。初めは、観光農園を本格的にスタートさせるというところから動き始めました。

それまでの当園は、知り合いの方や近くの老人会の皆さんに遊びに来ていただくくらいで、外からお客様に来ていただくということはなかったんですが、収益を得るためには、集客に力を入れていく必要があると考えました。そこで、観光サイトに情報を載せたり、近くで野菜の体験などをされている農家さんとコラボをしたりするようになりました。

そういった取り組みを市にも取り上げていただいて、市長にもお越しいただいたりして、段々と認知されるようになっていったんです。

 

Q.長く働かれた仕事を辞めて、農業で生計を立てていくことは、勇気が必要だったのではないですか?

訓子さん:長く働いていた仕事も好きでしたし、正社員として働いていた会社を辞めるのは、正直なところ不安でした。しかし、父が他界して母が一人でブルーベリーをやっているのを見て、私も時々実家に帰ってお花のお世話をしたり、ブルーベリーの仕事を手伝ったりしているうちに、「意外と楽しいな」と思うようになっていったんです。

そして、若いうちに自分の好きなことをやっていくのもいいのかな・母が元気なうちに一緒にやりたいな、という想いが行動を起こした一番のポイントだったと思います。定年になってから農業を始めたらできる期間が短くなってしまうので、思い切って農業を本職にすることを選んで良かったかな、と今は思っています。

とはいえ、まだまだ生計を立てるのは大変なので、市内の生花店でアルバイトをさせてもらいながら農業に従事しています。

 

Q.これから先はどんなことを目指していらっしゃいますか?

訓子さん:土地も対応する人員も限られているため、今は農園を「1時間1組貸し切り」という形で予約を受け付けています。でも、それだけだと、今以上に収益を上げることが難しいと感じていますので、新たな取り組みとして、自宅の一部を改装して加工場を作り、ジャムやお菓子などの加工品の製造販売を目指しています。あとは、ブルーベリーは7月上旬~8月中旬が一番の収穫シーズンなのですが、近年猛暑が続いていてお客様も暑くて大変ですので、6月に収穫できる早採れのブルーベリーを取り入れることにしました。

また、ブルーベリー以外にハーブの栽培にも力を入れていきたいと考えています。敷地内にある庭はバラが綺麗に咲くので、オープンガーデンにして、ハーブを使ったドリンクを提供するカフェにできたらいいなと考えています。

そのほか、私がもともとお花の仕事をしていたこともあるので、リース作りなどのワークショップの実施もできたらいいなと思います。実が落ちて食べられないブルーベリーを使ったブルーベリー染めなどにも取り組みたいですね。

 

限られた土地・人員でやっていくので、生産したもの・今あるものをどこまで最大限に生かすことができるかを考えています。単価の高いぶどうやシークワーサー等の果樹もやっていきたいですし、やりたいことがものすごくあるんです(笑)

幸い、ブルーベリーは野菜と違って管理にそこまで手がかからないので、その分、時間を有効活用して、いろいろとチャレンジすることができます。

 

俊子さん:親戚が使っていない畑を借りて野菜も作っています。この農地も、ブルーベリーを植える前は、地域の方に貸農園としてご利用いただいていて、とても上手にお野菜を作る方がいらっしゃいました。その方との縁を大事にしたいということもあり、今は一緒に野菜を作り、スーパーに販売しています。以前は野菜配達をしていたのですが、そのときのお客様からも野菜を続けてほしいという声もいただき、野菜生産も続けています。

 

Q.趣味・やりたいことを実現させて、きっとやりがいを感じられていると思いますが、農業のやりがいを改めて教えていただけますか?

俊子さん:もともと植物を育てるのが好きだったから、どうやったら良いものが作れるんだろう?と興味が湧いてきました。ブルーベリーを始める前、週末に畑の就農学校に通っていたんですが、本当に楽しかったです。学んで・家で実践して、どんどん農業にハマっていきました。やっぱり「好き」なことに没頭できることが一番いいですよね。

今でも毎朝作物の成長を見るのが楽しみで、夜は落ち着いて寝ていられないです(笑)。これを試したらどうなるかな?この肥料をあげたら元気になるかな?と毎日変化していくのを見るのが楽しいです。やったことが必ず形になるので、作物に「頑張ってね!」といつも声をかけています。

また、観光農園ならではですが、色々なお客様とお話するのも楽しいです。貸し切りということもあり、特別な時間として過ごしていただけているようです。中には、ブルーベリー摘みをせずに、敷地内でゆっくり読書をされている方もいらっしゃるんですよ。

 

訓子さん:楽しいのはもちろんありますが、農業だけで生活する大変さも身に染みています。私たちが野菜を安く食べられる陰に、農家の方々の苦労やありがたみを感じますね。

与えられた仕事ではなく、自分たちで開拓してやっていくので、やりがいと達成感はとても大きいですよね。

また、農業は男性のイメージが強いですが、男女の違いって、極論体力だけだと思うんです。それであれば、なるべく労力を使わないものを中心に選んで栽培すれば良くて、それってお年寄りや子どもにも優しい農業でもあるので、いろんな方ができる農業になればいいなと思います。

今の日本の農業は子孫が継ぐ形が多いですが、私たちは繋ぐ(つなぐ)農業をしていきたいです。農業をやりたい方は沢山いても、農地が無い等の理由で諦めてしまう方がいると思います。なんでも一から始めるのは大変だと思うので、私たちのこの農地も将来は農業をやりたい人に繋いでいきたいです。

Q.人との繋がりを大事にされていることが伝わってきました。これから農業を始めていきたい方に向けて、アドバイスをいただけませんか?

訓子さん:半農半Xの生活も良いと思います。農業だけで生計を立てるのはまだ難しいこともあり、私自身が今、外に働きに出る時間も作っています。気持ちのON/OFFの切り替えができることでモチベーションにも繋がりますし、外の仕事をすることで人脈が広がることもあります。自分の生活に応じて、栽培しやすいものを選択してみてください。

 

俊子:私は農業の仲間って大事だと思います。自分だけで抱え込むのではなく、他の農家さんと繋がることは必要ですし、お互いの刺激になる存在にもなると思います!中にこもるだけでなく、ぜひ外に出て交流をすることをお勧めします。私も困ったことがあったら、周辺やお世話になっている農家さんへ相談しに行っています。

 

訓子:その土地の農家さんとの繋がりって大事です。例えば、この品種は良かったよ~とか、逆にこの品種はあの農家が作っているから別の品種がいいとか、情報交換をして、お互いに切磋琢磨して盛り上げていけます。

 

俊子:やる気があればできるんじゃないですかね(笑)!絶対に必要なことです!

 
 

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